その視線の先では、
紀天がジュニアらしき後輩にお小言を言われているのか弱り切った顔つき。
もう、そんな小生意気そうなガキ。
一発、拳を入れて大人しくさせればいいのよ。
なんて毒づくも、
そんな乱暴をアイツはするはずもなく。
すぐに力で解決しようとしちゃうから、
女の癖に、喧嘩っ早くて口が悪くて女子力に乏しくて……可愛げがなくて。
自分を卑下する言葉なんて山ほど出てきちゃう。
そんな自分に溜息をつきながら、
大バカのおひとよしを視線で追い続けてた。
少しは気づきなさいよ。
そんなガキに世話やいて振り回されてる暇があったら
電話の一本、メールの一通でも寄越しなさいよ。
そんなことを心の中で思いながら、
頬を伝い落ちる涙を感じていた。