「デューティ、紀天。
 今すぐ制服にお召替えを。

 登校日の通学前。
 寮の部屋を出る時から制服着用が寮生には義務付けられています」




伊吹にあしらわれるように告げられると、
そのまま追いかけることも出来ず、一度部屋に戻って制服へと身を包む。



「デューティ紀天。
 シニアデューティのお目覚めの時刻です。

 お戻りまでに、こちらに食事の支度をしておきます」
 

伊吹はそれだけ告げると、
黙々と運んできた朝食をテーブルへと並べていった。


オレはと言うと……早朝から身にまとった学院の制服である燕尾服に袖を通して緊張の中、
竣祐総代の元を訪ねる。


ジュニアはデューティの部屋の合鍵を持つ。



まずは先方を起こさないように部屋にお邪魔させて頂いて、
軽く床やテーブルを整える。



そしてカーテンを開けて、
デューティが眠るベッドに近づいて声をかける。





「おはようございます。
 御起床の時間です、デューティ竣祐」



ゆっくりと声をかけるともぞもぞと動く布団の下から、
伸びる手足。




「おはよう、紀天」

「伊吹が朝食の支度を整えています」



そう言って一礼すると、
竣祐さんはベッドから抜け出してクローゼットルームへ。


早々に制服に着替えなおして、
今度はグラン・デューティーの元へ。


こんな独特の朝を送るうちに、
時間は2時間ほど過ぎていく。





グランに連なるところが、
順番に顔をあわせると朝食タイム。


その時、給仕を務めるのは最年少のジュニア。


昂燿のジュニアと悧羅校のジュニアでは、
その役割が全く違っていた。 



悧羅校では、朝食を取りに行くのもジュニアとデューティーが一緒に出掛ける。


デューティーがジュニアを起こし、
着替えを手伝い……日々の生活をサポートする。