──それに、問題ならまだある。



「宮内先生、かぁ……私、ちょっと苦手なんだよなぁ……」

「え?」



ぼそりと呟いた私の言葉を拾って、綺里ちゃんが目をまるくした。



「めっずらしいわね。みゃーくんのこと苦手っていう生徒もそうだけど……沙知ってわりと、社交的な方じゃない?」

「うー……」



確かに私は、誰とでもよく話す方だし……人のこと『苦手』とか『自分と合わない』って区別すること、あんまりない。

でも、宮内先生は……。



「なんか、どっちかっていうと、向こうが私のこと苦手にしてるような気がする」

「ええ? あのみゃーくんが?」

「……うん」



みゃーくん、なんてかわいいあだ名を生徒がつけるくらいで、宮内先生は基本的にやさしいし、すごくとっつきやすいキャラだ。

どの生徒にも、分け隔てなくいつも笑顔で接してくれる。

……けど、なぁんか私に対しては、違うっていうか、ぎこちないような……。

授業中とか、たまに睨まれてる気もするし。(イヤすみません、私がしょっちゅう居眠りしてるせいかもしれませんけど)

まあ、ただの考えすぎかもしれないんだけどさ。