「ち、違うんです。……私、昨日から、ヘンなの」

「……ヘン?」



オウム返しに、そう首をかしげた先生に。

今度は私が、床に視線を落とした。



「ヘン、なの。だって私、鎌田先輩に、失恋したはずなのに」

「………」

「せ、先生のことばっかり、考えてて、」

「……え?」



それまで黙っていた先生が、目をまるくして私を見つめる。

その視線に、頬が熱くなるのを感じながらも……私は続けた。



「宮内先生と、もう、ちゃんと話せなくなるのかな、とか」

「………」

「もう放課後に、社会科準備室で、お茶できないのかな、とか」

「………」

「わ、私、ヘンですよね」