「……それじゃあ、僕は教室に戻るね。篠岡さんは落ち着くまで、どこかで休んでるといいよ」



本当に、ごめんね。

そう言い残して、宮内先生はゆっくりと立ち上がり、この場を去ろうとした。



「……ッ、」



向けられた背中に、私はハッとして。



「ッせん、せい!」



気付けば声を振り絞って、目の前の男性を呼び止めていた。

驚いたような表情で、先生が振り返る。



「……篠岡さん?」

「あ、の、先生……っ」



しゃくりあげながら必死で言葉を紡ぐ私に、先生は再び、すぐそばまで戻ってきてくれた。

しゃがみこんで私の顔を見つめる先生に、ホッとして。

私はまた、口を開いた。



「先生、これは、先生のせいじゃ、ないんです。私が、勝手に、泣いてるだけで……」

「……だから、その泣いてる理由が……昨日の、俺の行動なんじゃないの?」



なんだか苦しそうな顔で、宮内先生はそう言って視線を落とす。

だけど私は、ふるふると首を横に振った。