先生は、一体どういうつもりで、あんなことをしたんだろう。

鎌田先輩に失恋した私がかわいそうだったから? 同情、で?

でも、あの人と私は、“先生”と“生徒”だ。どう考えたって、あのときの宮内先生の行動は、その領域を越えている。



「………」



――ああ、ダメだ私、昨日から宮内先生のことばかり考えてる。

鎌田先輩のことだって、つい昨日のことなのに……それより何より、先生とのキスが、頭から離れなくて。



「……それじゃあ今日は、教科書98ページから――」



おかしい。こんなの、おかしいよ。

宮内先生の、声を聞くたび。

きゅうっと、胸が締めつけられるように、痛くなる。