「大丈夫です……」

「いやごめん、大丈夫なわけないよね。もう少し落ち着くまで、ここにいればいいよ」

「でも……これ以上、先生に迷惑かけるわけには、」

「そんなこと思ってないし、思わないよ。いいから、おとなしくここにいなさい」



きっぱり、俺が“先生”の口調で諭すと。



「……はい」



彼女は、そう呟いて素直に頷いた。



「ん、よし」



その様子に俺は満足げに笑って、つい、目の前にある彼女の頭を撫でてしまう。

すぐに自分の失態に気づき、手を引っ込めようとしたけど……彼女が心地良さそうに、目を閉じたから。だから俺は、そのまま、彼女のやわらかな髪を撫で続けた。

まぶたを下ろしたまま、篠岡さんが口を開く。