「スキ、っていうか……わかんないけど、自然と目が追っちゃうんだもん」



言いながら唇をとがらせる私の横に、同じように綺里ちゃんも並ぶ。

わざとストローを思いきり吸った彼女のブリックが、ペコッとへこんだ。



「まーねー。あのさわやかイケメンフェイスで笑いかけられでもしたら、たいていの女子はコロッとひっかかるでしょうよ」

「……でも、綺里ちゃんはひっかからないんですね」

「タイプじゃない」



バッサリ言い放って、綺里ちゃんはグラウンドから視線を外す。

それからちょっとだけ真面目な表情で、「本気?」と私に問いかけた。



「う、そう聞かれると自分でもよくわかんない、けど……鎌田先輩目立つ人だし、こういうのは、ただの“憧れ”っていうのかなあ」



茶色いグラウンドを楽しげな笑顔で駆け回る先輩は、すごくきらきらして見える。

もっと彼のことを知りたい、と思ってしまう。

──この気持ちは、テレビの中のアイドルに対するようなそれと、同じ類のものなのだろうか。