「鎌田先輩ってあの、やたら女子共に人気でサッカー部のキャプテンだった鎌田先輩でしょ? うわ無理、あたしあの無駄にさわやかな感じ生理的に無理だわー」

「ちょ、綺里ちゃんなんてことを……」



とっても美人なのにがっつり毒舌女王様な彼女は、今に舌打ちでもしそうな表情でバナナオレをずずっと吸い込んだ。

私は伏せていた机から上体を起こし、唇をとがらせつつ女王様こと綺里ちゃんに顔を向ける。



「綺里ちゃんキライだもんね、さわやか好青年タイプの人」

「うん。……沙知は、スキだったわけだ?」

「………」



うかがうようなその言葉に、私は居心地悪く窓の外へと視線を向けた。

椅子に座っているこの状態からじゃ見えないけど……眼下に広がるグラウンドでは、今日も部活を引退した鎌田先輩とその仲間たちが、仲良さげにサッカーを楽しんでいるはずだ。

私は立ち上がって、窓際へと寄った。