駄目だな。

教師である俺は生徒みんなに対等の態度でいなきゃいけなくて、今までだって、そうしてきたはずなのに……どうも篠岡さんが絡むと、それが少し、乱されてしまう。



「……あ、宮内せんせー!!」

「お」



突然窓の外から名前を呼ばれて、うつむいていた俺は再び中庭へと視線を向けた。

見ると、俺の存在に気づいたらしい生徒たちが、こちらを見上げて手を振っている。

俺は鍵を解除して、目の前の窓を開けた。



「楽しそうだねー。この後はグラウンドでサッカー?」

「そー! みゃーくんも混じるー?」

「あはは、26のオジサンは遠慮しとくー」

「えーがんばれよ26歳ー」

「そうだそうだー」



からかい口調のそれにまたあはは、と笑って、俺はパンを頬張っていた鎌田個人へ視線をずらす。



「なー鎌田ー」

「ん~? 何せんせー」

「鎌田ってさあ、───」