「ん？」



資料室から職員室へと向かっていた昼休み、ふと、廊下の窓から外を見下ろすと。



「あ……」



そこには、仲間たちと中庭で昼食をとっている、篠岡さんの想い人──鎌田の姿があった。

近くにサッカーボールが転がっていることから、おそらくこの後、いつものようにグラウンドで遊ぶつもりなのだろう。



「………」



何となく足を止めて、窓から彼らの様子を見つめる。

グループは男子生徒ばかりで、若者らしく賑やかにふざけあいながら、こちらから見ていても楽しそうだ。

その中心にいるのが、鎌田。たしかに彼は明るくムードメーカーで、まわりに慕われていて、まあ勉強の方は一部アレだったが、ついでに顔も整っていて……。



「(……あ、)」



考えながら無意識に、窓枠にかけた手をきつく握りしめていたことに気がついて、俺は思わず苦笑した。