「ほんとごめん。相手がこの学校の生徒にしても、個人の特定まではするつもりなかったんだけど……」

「いえ……私の話が、わかりやすかっただけなので……」

「まあ、たしかにね」

「………」



私の返事に、これまたあっさりと先生はうなずく。

……今ちょっとだけ、先生の意地悪な部分が垣間見えたぞ。

気を取り直して、私はまた口を開いた。



「それで、宮内先生としては、いかがでしょう?」

「うーん、鎌田ねぇ……」



こぶしを握りしめて先生を見上げると、彼は何か考え込むように、あごに手をあてて空中を見る。



「まあまず、モテてるよね。ライバルはいっぱいだ」

「ゔ。……か、彼女の有無、とかは……」

「さあ、どうだろうな。そのあたりは、“先生”っていう立場の方が情報入ってこないだろうなあ」

「そうですか……」



うん、わかってはいたけど、やっぱりライバルがいっぱいってあたり落ち込むわ……。

それに、そもそもの疑問で、鎌田先輩に彼女がいるかどうかさえわからないんだよなあ。

うう……前途多難……。