「まず、ちょっと僕から質問。篠岡さんのすきな先輩って、どんな人なの?」

「えっ、」



いきなりの本題に、今度は私が目を瞬かせる番だ。

じ、とこちらを見つめる先生の視線から、逃れるように。

私はひざの上に乗せた手を見やりながら、しどろもどろに話し始めた。



「えっ、と、直接話したこともないから、想像とか、遠目の感想でしかないんですけど……」

「うん」

「えと、まず、サッカーがすごく上手くて、いっつも、昼休みとかもお友達と遊んでて」

「……うん」

「それから、えっと、女の子にすごく人気があって、笑顔が素敵で、性格も明るそうで、それから……」

「うん、ごめん、篠岡さん」



謝りながら言葉をさえぎられて、不思議に思いながら、宮内先生に視線を向けると。

先生は右手のひらを前に突き出した状態で、苦笑いを浮かべていた。



「ごめん。僕、篠岡さんのすきな人わかっちゃいました」

「えっ!?」

「3Eの鎌田 雄大、だよね?」



きっぱりあっさりクラスと名前を当てられて、私はかーっと顔を熱くさせながらうなずいた。

そんな私を見ている先生は、やはり苦く笑っていて。