夜中に目がさめた。

 お母さんの泣く声と
 お父さんの怒鳴り散らす声が聞こえた。

 私は怖くて 布団から 
 出れなかった。
 
 ぎゅっと目をつむった。

 そして また眠りについた。

 目が覚めた時 みたことの無い部屋にいた。
 
 誰もいない。 白い殺風景の部屋。

 時計とゴミ箱しかない。
 
 ドアがあいた。 お母さんだ。

 青ざめた顔で母は
 
 「 なんで 落ちたのよ!
  なんで あんたは馬鹿なの?
  できそこないっ。
  あんたなんか 生まなきゃ良かった。」
 そう言いゴミ箱を 私に投げつけた。

 理解できない。 昨日の夜
 大丈夫 と 優しく包んでくれた 
 お母さんはどこにもいなかった。

 お母さんは 1万円札を 投げつけて
 部屋をでていった。

 それから お母さんは 帰ってこなかった。

 きっと このお金は 何か食べるために
 私にくれたもの。

 でも 私は なにがなんだか
 わからなくて 食べ物なんて喉を
 とうらなかった。

 何日たったのか 今日が何日なのか
 ここが何処だかすら 私には分からない。

 部屋に光が射し込みだしたときに
 物音がした。

 久々に聞く お父さんとお母さんの声。

 お母さんが ドアをあけ

 「こい。」と 言い 私の手をひいた。

 リビングらしき場所につれてこられ
 椅子に座らさせられた。

 ひさびさに家族3人そろった。

 しばらく無言が続き お父さんが

 「離婚することになった。
  高校受験は頑張れよ。」

 と いった。

 すると お母さんが

 「なんでかわかる?
  あんたが馬鹿だから。
  受験に落ちたから。
  お母さんね ここまで
  あんたが馬鹿だとは思わなかったよ。」
 と 言い 席をたった。

 すると お父さんは
 静かに部屋をでていった。

 私は ぼーっと していた。

 「いつまで 部屋にいるわけ。邪魔。
  あんたなんか消えてよ。」

 そう お母さんに言われ ハッとし
 私は さっきいた部屋にもどった。