昔 お母さんに ぎゅー って 
 されたとき あったかかった。

 優しく なでてくれた。

 いい匂いがして ふわふわして
 嫌な事も 全部わすれられた。

 全てが変わったのは あの日だ。

 中学入試結果の合否発表の日。
 
 お父さんのすすめで 私は
 全国でも有名な名門校を受験した。

 テストの手応えは良かった。

 そんな気がした。いや、私は
 受験に対して あまり興味がなかった。

 だから どちらでも良かった。

 夕方、お母さんは 学校から帰ってきた私を
 大丈夫だよ と 優しく温かく
 抱きしめてくれた。

 でも お母さんの目に 涙が
 たまっているのに 私はきずいていた。

 今日ははやく休みなさい。
 いままで 疲れたでしょ。 と
 お母さんは微笑んでくれた。

 私は 重い肩の荷が とれたように
 深い深い 眠りについた。