「玲、もうつき合ってることにするのやめよっか」


そう言い出したのは龍だった。
大学入ったら好きな人とかできるかもしれないし、
その時に困るから。
それが理由。


私は嫌がったんだ。
このままでいいじゃんって、
もし好きな人なんてできたら、その時に別れればいいって。

でも龍は譲らなかった。


龍が私のためにそう言ってるのはわかってたから
それ以上の事は言えなかった。


龍はきっと、私が龍のために自分を犠牲にしてるって思ってるんだ。

本当はそんなことないのに。

中学一年生の夏、付き合ってる宣言をしたあの日、
私は本当は、龍のことなんてこれっぽっちも考えていなかったような気がする。