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次の日。今日の気温は落ち着いていて体力を消耗せずに登校できた。それなのにまたため息ばかり。
あれから須賀は日誌を私に無言で渡して部活に戻っていったし、圭吾くんもごめんねを繰り返した。
あれはきっとキスではない。
ただ軽く唇が当たっただけのことで、べつに……。
「あ、」
そんなことを考えていると朝練終わりの須賀と下駄箱で鉢合わせ。
あの場面を須賀に見られていたなんて最悪だ。
なんでタイミングわるく日誌を持ってくるのかな。まあ、今すぐ書いてと言ったのも外で待ってると言ったのも私なんだけどさ。
「き、昨日のあれはべつに事故だから」
靴を履き替える須賀に私から言った。
だってこのまま無言はなんとなく気持ちわるいから。
「そんなの俺にわざわざ言わなくてもいいよ」
なんだか冷静に返されてしまって、顔から火が出るほど恥ずかしい。
「あ、あんたがおかしなことを言いふらさないように……」
「なんで俺が間宮の恋愛を言いふらさなきゃいけねーんだよ」
「はあ?恋愛じゃないし。バカじゃないの」
「バカじゃねーし」
「……っ!」
あーあ。やめた。
こんなこと須賀と口論したってなんの意味もない。
べつに圭吾くんと唇が当たったからといって、なにかが変わるわけじゃないし。
ただ、ちょっと知らない味がしただけのこと。