教材室は1階の西側にある。
授業で使う小道具や資料がたくさん置かれている部屋だけど日中でも薄暗いし、お化けが出るって噂もあるっけ。
オカルト系には強いほうだから、そんなの平気だけど。
「これどこに置けばいいの?」
須賀に頼んだ時は不機嫌だったけど、あれは寝起きだったからなのか今は普通。
「上のほうに同じような地図があるし、適当に戻しておけばいいんじゃない」
組み立て式のパイプの棚には乱雑に色々なものが積んであって、須賀は重い世界地図を軽々と一番上に置いた。
……意識してなかったけど、須賀もけっこう身長高いんだな。
「間宮も土曜日くるの?」
戻し終わった須賀が私を見た。
「さあ。全員参加とか言われたけど、行かないで済む方法を今探してるところ」
「間宮ってインドアっぽいもんな」
なにそれ。
私が外出したくないから応援に行きたくないって言ってると思ってんの?
私はそれが水泳の大会だから行きたくないんだよ。
それに須賀のためにわざわざ応援っていうのも、なんだか腑に落ちないっていうか……。
「間宮ってさ、たまにすげー冷たい目で俺のこと見てる時あるよな」
「え?」
地球儀を棚の上に置いてクルクルと回していたら、須賀がそんなことを言ってきた。
……冷たい目?
「自分の目なんて自分じゃ見えないから分からないし。……でも例えそうでも須賀は気にするタイプじゃないでしょ」
「まあね」
ほら、この余裕。