「そんなんだからすぐ別れちゃったんじゃないの?彼女と。どうせフラれたんでしょ」
ちょっといつもよりトゲがあるのは私が若干、勘違いしたから。
圭吾くんと親しいの?なんて聞いてくるからなにかと思えば、俺の状況を言うなって全く想定してないことを言われたから。
須賀は私の言葉に深いため息をついて、後ろから足音が近づいてくる。
「そうだよ。フラれたよ。水泳してる俺がかっこいいとか言って、付き合うと水泳と私どっちが大切なの?っておかしいだろ」
「それなんて答えたの?」
「水泳に決まってんだろ」
「……そこは嘘でも彼女でしょ」
いつの間にか須賀は私の隣を歩いていた。
「俺にとって今は水泳が一番大事。水泳って競技寿命短いから」
本当に水泳バカ。
でもバカになるほど打ち込めるものなんて、だれでも出逢えるわけじゃない。
「ってことで、今日もここ」
須賀がそう言ってある場所を指さした。それは小さなスイミングスクール。
聞いてない。
いや気づくべきだった。なんで私はノコノコと付いてきてしまったんだろうか。
「帰る」
学校のプールでさえも避けてるっていうのに、なんで休日に……。
「泳ぐわけじゃないんだし、いいじゃん」と須賀が私の手を引っ張る。
「じゃなにしにいくの」
「練習。教えるんだよ」