私はまた不機嫌になりながら、黙々と帰る準備をした。
「すず。私、部活行くね」
テニス部の友達が迎えにきた紗香はそのまま教室を出ていった。
いつの間にか教室には数人の生徒しかいなくなっていた。みんな放課後は部活で嫌々やってる人は少なく見える。現に紗香も楽しそうだし。
でも私は部活に入る予定はない。これと言って興味があるものもないから。
その時、ガラッと教室のドアが開いて担任が近づいてきた。
「間宮、これ水泳部に届けてくれないか?」
渡してきたのは一枚の紙。
【関東高等学校水泳競技大会】と書かれた紙には日程とスケジュールが記されてあった。
「……なんで私なんですか?」
水泳部に行くなんて絶対にイヤ。それに大会のスケジュールって普通顧問が管理するものじゃん。
「部活やってないから暇だろ?とりあえず頼む。な?」
半ば強引に用事を押し付けられてしまった。
さっきまでいた数人の生徒はもういなくなっていて、気づけば私ひとりだけ。
……どうしよう。
私はその紙を見つめながら暫く考えてしまった。