濡れたプールサイドを私はスタスタとはや歩きしている。

それを見た須賀が水の中から追いかけてきて、
大きな声が空間に響いた。

  
「間宮!水が怖いのは弟を奪ったからじゃなくて思い出すからだろ?お前が水泳を遠ざけてたのは弟に悪いと思ったからだろ?違うのかよ」

「………」

「いつまで溺れてる気だよ。いい加減助けられてやれよ!」

須賀の声を聞きながらまた涙が出てくる。


悔しいから?悲しいから?

違う。全部当たってるからだよ。

私の足がピタリと止まる。そして……。


「私だって!私だってね……!」

想いのすべてを吐き出そうとした時、急に大声をだしたからか体がよろめいて、ズルッと足元の水に滑った。


まるで世界が反転したかのように視界が天井が見えて、バシャーンッ!!と高い水しぶきをあげながら私はプールへと落ちた。


どこを見ても青、青、青。

ブクブクッと白い気泡が私の体から生まれる。


ああ、またこの世界。

なにも聞こえない。ただゴーッという耳鳴りがずっと頭の奥で鳴り響くだけ。

よみがえってくる恐怖。

イヤだ。怖い、怖い、怖い。

ギュッと目を瞑る中、私の目尻をトントンと2回叩く感触が。