『お祭りの時すずが医務室に行ってくれてる間に須賀が飲み物を買ってきてくれてね。その時にちょっと話して流れで……』
『なにそれ。どんな流れ?』
『まあ、いいじゃん。すずだって今は須賀のこと嫌いじゃないでしょ?』
……嫌いじゃないけど。
ってかそもそも知りたいなら直接私に聞けばよくない?いや、須賀と話すといつも意地っ張りな自分が出てくるから素直に教えたかと聞かれれば自信がない。
『今日も水泳部で泳いでたよ。全国大会までに間に合ってよかったよね』
『……うん』
『県大会みたいにみんな現地集合で集まって応援に行くらしいけど、すずはどうする?』
今回はべつに強制ではない。
行かなくても責められないし、県大会と違って全国の会場は広い。スタンド席で応援してもどうせ遠くから大勢のひとりとして混ざるだけ。
『……私は、保留で』
『保留かあ』
なぜか紗香が残念そうな声をだした。
紗香は私が行かなくても応援に行くと思うけど、私の心はまだ揺れている。
須賀の応援をしたくないとか、そんな理由じゃなくて。
これは私自身の問題だ。