「お待たせ。ただの風邪だね」

「夏風邪は馬鹿が引くって本当っすね」

「こら、彼女にそういう事言うなよ」


何も言い返さない。

さっきのレナの言葉が、頭から離れないから。


「…彼女なんかより、幼なじみの方がって言われたんです」

「ん?何、振られたの?」

「まだ振られてませんから」

「ははっ、そう」


保険医が離れた所で、レナの傍に行く。

髪が乱れてる。走ったせいだな。

熱そうだし、苦しそうだ。


「…俺、信用無かったんだな」


それが一番、ショックだったかもしれない。