その後、MCが入った。

ITSUKIはあたしの目の前といっていいぐらいの位置に座っている。

「じゃあ、最前列の人にそれぞれ質問してもらって、俺がその質問に答えまーす」

あたしを入れて最前列は10人。

まずは1番目の人にITSUKIが近付く。

「お名前は?」

そう聞かれた女の子は顔を真っ赤にさせている。

「真希…です」

「まきちゃんね。質問は?」

「えっと…さっきの歌って…あの銀スマでやってた子の…?」

そう質問されたITSUKIは立ち上がって質問に答える。

「そうですねぇ…まぁ、そうなります。じゃあ、続いての質問。えっと…お名前は?」

そういった感じでITSUKIはどんどん質問に答えていった。

「あの……私のこと…ブスだと、おもいますかっ?!」

中には名前を言うのも忘れてすぐに質問を言い出す子もいた。

「うーん…可愛いと思うよ?」

そういった質問にもスムーズに答えていくITSUKI。

そしてあたしの番。

「お名前は?」

わざわざしゃがんで目線を合わせてくれるITSUKI。

「優希。」

そう言った瞬間、ITSUKIが驚いた様な顔をした。

そして、なぜかあたしに質問をしてくる

「…優しい希望ってかいてゆうき?」

「えっ?はい…なんで知ってるんですか?」

「優希…ちゃん?」

「?はい」

そう言った瞬間、なぜかITSUKIは泣き出した。

「えっ?えっ?」

ザワザワしている会場。

「ちょっ…ITSUKIさん…?!」

あたしが呼びかけるとITSUKIはむくりと立ち上がって言った。

もちろん、マイクをはずして…

「春樹って…しってる?」

その瞬間、ツーと何かが頬をつたった気がした

「っ!な、なんで……春樹くん知ってるの?!ねぇ、知ってるなら教えて!春樹くんは…どこで何してるの…?」

「ちょっ…優希!もう忘れるって言ったじゃん」

「忘れられないの!」

泣き叫ぶあたしを好機の目で見ているファンのみんな。

ITSUKIは、マイクを通して言った。

「ちょっとこの子の調子が悪いらしいから待っててー。」

そう言い終わると、ITSUKIは優希をお姫様抱っこして、ステージ裏へと向かった。

泣いていたあたしは、そんな状況を全然理解してなかった。