「でも見てよほらーこのコンサートタイトル」

チケットを無理やり見せようとする紀恵。

「ちょっ近過ぎだって!」

「あぁ、ごめんごめん」

そう言って紀恵があたしにチケットを見せる。

「…君のBirthday-君と一緒の時間を-…?」

「うん!」

「もしかして…だからあたしを?」

「えっ?あ…うん!そうだよ!」

「紀恵、ありがとう!」

だから、紀恵が小さく言った
“偶然だけどね”という言葉は聞き流してあげよう。

「えっと…開演はあと10分後かぁ…私、ちょっとトイレいってくるね」

紀恵がそう言って席を立った。

「ふぅ…」

今日はあたしの16歳の誕生日。

そして、ひな祭り。

まさか、こんなところにくるなんて、思ってもみなかったなぁ…

「優希ごめん!遅くなった!こんでてさぁー」

なんて言いながら戻ってきた紀恵。

すると、辺りが暗くなり、前のテレビ?がパッとつく。