「キャー、どこ行くのっ、待ってっ!」

「どいて、サインや握手をいただくのは、この私よっ!」

「違うわ!あたしよっ!」

後ろから、熱心なファンが、まだついて来る。
 
二人は、デパートの中をぐねぐねと曲がって、やっと隠れ場所を見つけた。

「あれ、もう帰っちゃったみたいよ。」

ヒラヒラのスカートを履いた少女が言った。

「あぁ、サインしてもらう絶好のチャンスだったのにー!」

手に持っていた携帯電話を強く握り締めながら、女子高生が言った。

「‥うちら、やっと助かったみたいやでー。」

と、カナ。