満足して、下に降りるとおばさんが


「空ちゃん、新しい高校の制服の採寸の日付決めさせてくれる?」


と電話を持っていた。


「えっとね~。できれば、早いほうがいいみたいなんだけど。どうしようか~。」

「あっ。じゃあ、今日行きます!」

「時間大丈夫?帰りの電車とか…。」

「はい!少し、遅くなっても大丈夫なようにいってあるので。」

「わかったわ。じゃあ、言っとくわね~。」


別に、帰りが遅くなっても親は心配しない。

ていうか、元々私の心配なんか少しもしてないと思う。

2人ともそれぞれ忙しくて、私のことなんか目に見えてないと思う。


『お母さん。あたし、都会の高校に転入する。』

『あら、そう。』


『お父さん。あたし、都会の高校に転入することにした。』

『そうか。』


2人とも私のことなんか、どうでもいいんだよね…。

小学生の頃は、寂しくて寂しくて。泣いて枕を毎日濡らしていたけど、今はもう慣れてしまった。


「空ちゃーん。お店の人ね、14時に来てくださいって。」


おばさんの声で我に返る。


「じゃあ、今からタクシーで行きますね!」

「タクシー!?ちょっと待ってて。あなたー!!空ちゃんを制服屋さんまで送ってあげてー!!」

「いえ、そんな!悪いですよ!おじさんもいろいろあるのに!」

「だーいじょうぶよ。あの人、毎日お休みだから。」

「でも…。」

「おう!なんだって?」

「あ。空ちゃんを制服屋さんまで送ってあげて。ついでに、帰りにこのメモにかいてあるのをスーパーで買ってきて。」

「あいよ。じゃあ、空ちゃん行こうか。」

「あ、お願いします!おばさん、また来週!」

「またね~。帰り道気をつけてね。」

「ありがとうございました!」


そう言って、おじさんが運転する車に乗り込む。