「暑い。」 五月の上旬。 昨日までの寒さが嘘のように、今日は太陽が高くからこの世界を照らしている。 12時過ぎの昼間。 怠い体を起こして、私は家を出る。 携帯と図書カードを持って。 胸の中は、 期待と。 罪悪感と。 諦め。 「はあああぁぁあ。」 深いため息をついて、2回目になるあの部屋に入った。 「おいで。」 低くて、心地の良い声がする。 真っ暗な部屋の中から。