押しては返る波に足を浸らせる。
裸足に張り付いた砂が洗い流されていく。
岩場に横になった。
都会の空だから星は見えなかった。
神秘を求めてないから別にいいけれど、寂しく感じるのは私が弱くなったせいなのか。
バイクの音が近付く。
反射的に、逃げようと頭を屈めた。
暗闇の中だ。
動かなければ岩と認識されるだろう。
私の考えは、
ハニートーストの砂糖がけ以上に
甘かった。
ガシッと捕まれた腕。
怖くて、体が凍る。
頭上からかけられた声に、聞き覚えは、ない。
ただ、何となく。
紅が関係しているように思えた。