「先生~!今日転校生が来るってホント⁉」
「女子⁈女子⁈」
男子生徒たちが興味津々といった感じで身を乗り出す。…何故、こういう話はすぐ広まるのだろう?と私はいつも疑問に思う。
「男子生徒です。もうすぐ来ると思うんですが。」
男子生徒は落胆の声を上げる。
私は時計をみる。9時を10分ほど回ったところだ。
そろそろ来てもいい頃なのに…。と少し心配になった時、教室の扉が開かれる。
「遅れました。」
「遅いですよ……。」
私はそう言い、新しくこのクラスのメンバーとなる少年を見た瞬間、言葉を失った。
「な、んで……?」
そんな私のことなんかお構いなしに、教壇へと歩み寄る転校生。
一部の女子生徒から黄色い歓声が上がる。
「超かっこ良くない⁉」
転校生の少年をチラチラ見ながらうっとりしている。
「先生、自己紹介してもいいですか?」
呆然とする私に転校生はそう言った。私はハッとして咳払いをした。
「今日から皆さんと一緒に勉強していくことになった西野くんです。」
「西野礼央です。よろしく。」
女子生徒からまた歓声があがる。
そう…、紛れもない。
私の前に現れた転校生は、あの時の天使だった。