「う…っ!」
体が動かない。特に何かに縛られてるというわけではなさそうだ。
体が怠くて重い…。
一体ここはどこなんだ。
するとどこからか、カツカツとこちらに向かってくる足音がする。
私は音のする方に意識を向ける。
チラチラと刺すような光が暗闇を割く。
足音が私の背後で止まった。
「お目覚めですか?先生。」
影は手に持った懐中電灯を私に向けた。
私は眩しさに顔をしかめた。
「先生、ずっと寝てるんですもん。私、退屈でした。」
影はため息をついて皮肉に笑う。
「ここは…、どこなの…?」
私は影を見つめて言う。
「郊外のオンボロ倉庫です。」
「オンボロ……?」
「ちょっと暴れたらすぐ壊れちゃいそうですね。それに何か灯油臭いし。」
影はニヤッと笑った。