あれ……?
何か変だな。…確かあの時…。
私が倉橋さんに初めて会ったとき、彼女の手は傷だらけだった。
なのに、今は傷ひとつもない。
数日のうちにこんなに良くなるものなの?
「…あの倉橋さん、その手…。」
私は倉橋さんの手を見つめたまま言った。
心臓が強く鼓動しはじめる。
私の予想が確信に変わり始めていた。
倉橋さんは、キョトンとして自分の手を見た。
「ああ、これですか?」
すると倉橋さんは不気味に口元を歪めた。
その途端、私の全身に悪寒が走った。
「なぁんだ、先生、意外と目敏いんですね。」
倉橋さんはクスクスと笑う。