すると、職員室のドアがガラガラと開けられる。
「失礼します。」
生徒が入ってきたようだ。何気なくそちらを見てみた私はびっくりした。
「……!」
紛れもない。私の脳内を埋め尽くしていた人物、倉橋星羅だった。
こんなに早く、彼女と遭遇するとは。
まだ気持ちの整理が出来ていなかった。
私は思わずガタンッと音を立てて立ち上がる。彼女を含め周囲の先生方が一斉にこちらを見る。
あ、しまった。
と思ったが、それはもはや過ぎてしまったこと。
私に気付いた彼女はニコッと笑い、
「先生、おはようございます。」
と言った。
咄嗟に立ち上がってしまったものの、何をするわけでもなく、ただ彼女の笑顔につられ、
「お、おはよう…。」
それしか言えなかった。
我ながら情けないと思った。
だけど、これはチャンス。
何とか彼女の正体を確認しなければ。
ふと脳裏に一瞬、レオの姿がよぎった。
レオ、心配するだろうな…。
でも、レオにばかり迷惑はかけられない。
私に出来ることは今はこれしかない。
私はグッと拳に力を入れた。