ーー私はその日仕事が終わると、早速ジンさんのお店へと向かった。
もちろん、お札を届けに。
"カランコロン"
あの時はレオがいたけど、今日は一人。少し緊張しながらも私はお店のドアを開けた。
外が暗くなってきたせいか、店内が明るく感じた。今日はお客さんが2人ほどいた。女性だ。
お客は入って来た私の方をちらっと見たが、特に気にする様子はなかった。
「いらっしゃいませ~!」
あの時と同じようにジンさんの声がした。
「あ、理亜ちゃん。」
厨房から現れたジンさんは私を見て少しびっくりしたようだ。
「こんにちは。」
私は挨拶をし、早々に鞄の中からお札を取り出した。