「あ……ちょっと…!」
私は急いで紅茶を飲み干し、ジンさんにお辞儀をした。
「またね、理亜ちゃん。」
ジンさんはひらひらと手を振った。
外に出ると、不機嫌そうなレオがいた。レオは私が来ると無言で駅の方へ歩いて行った。
私は何て声をかけたらいいか分からず、ただレオの後に続いた。
そして私の中では、さっきのジンさんの言葉がこだましていた。
"レオも守るのに一生懸命になるよ"
"だってマリアは…"
マリアって、誰なの…?
あのレオが感情を抑えきれないなんて。
私の知らないレオがいる。
レオは天界…私たちの暮らすこの世界を守るために、私を守ってくれているんでしょ…?
影に狙われているという不安とは別に、私の中で言いようのない不安が生まれていた。