「大丈夫。気にしないで。」
西野くんのことを意識してるだなんて思われたくなかった。仮にも生徒に対して。
「それならいいが。」
西野くんはそう言い、お茶をすすった。猫舌なのか、一生懸命湯呑に息を吹きかけている。
顔に似合わず可愛いところもあるんだな。
私は思わず笑ってしまった。西野くんはキョトンとしている。
何故笑ったのか不思議なようだ。
私は何でもないという風に手を振った。少し笑ったせいか、緊張していた体から力が抜けていく感じがした。
「ねぇ、西野くんの本当の名前を教えて。」
私は思いきって聞いた。ずっと気になっていたことだ。
天使とはいえ、名前はきっとあるはず。
「…レオ。」
西野くんは呟く。