「先にあがります。お疲れ様です。」
日も暮れ始めた頃、やっと業務を終えた私は挨拶をして職員室を出た。
薄っすら星が輝きはじめた空を見上げ、ふぅとため息をついた。
西野くんが言った通り、あのあとも私の前に影が現れたのだ。ただ、影は西野くんがいう低級のもので、ただ大きくなるだけだった。
最後まで見る前に私は例の如く逃げ出したわけで、それからどんな形で影が襲ってくるかは分からない。
午後のHR中も周囲をチラチラ見回してしまうほど、私の神経は過敏となっていた。
幸いなことに、生徒たちは放課後何をするか友達とのお喋りに夢中で、私の変化に気付いている様子はなかった。
ただ、
ふとした時に一番後ろの席の西野くんと目が合った。
目が合う度、何故かドキッと胸を高鳴らせている自分がいることに気付いた。