「奴はどうした?」
「え…?」
何かを真剣に考えていたかと思うと、ふと顔を上げて西野くんが尋ねた。
「札を出したら、固まっちゃって…。それで急いで逃げて来たの。」
「…ということは、まだ影は生きてるということか…。それに札の効力も弱まってきている。」
「え、でも影は札を見て動きを止めたから、大丈夫なんじゃないの?」
西野くんはハァ、とため息をつく。
「今までは札の力で影はお前に近づくことさえ出来なかった。それなのに、お前の前に現れた。
それに、札を出しても消滅さえ出来なかった。…ということは、札の効力が弱まってるということ。」
…それってかなりピンチなんじゃない…?西野くんがいれば大丈夫だけど、いない時は札に頼るしかない。
でもその札も意味がないんじゃ…。
西野くんは一息ついた。
「心配するな。まだ低級の影しか現れていない。まだ時間がある。」
「う、うん…。」
西野くんはそう言うけど、どうしても不安は消えない。
これからどうなるんだろう。