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授業を終え、昼休みに入る。
「ああ、やっと昼休みだー。」
生徒たちがいないことを確認し、私は一人つぶやきながら背伸びをする。
朝食を食べない習慣が身についたからか、昼になると異様な空腹感が私を襲う。
早くご飯食べよう、と教材を片付けていた時だ。
部屋の隅で何かが動めくのを感じた。
「……?」
私は部屋の隅を見つめる。
あの時初めて影に出会ったような感覚だった。次第に胸がドキドキしてくる。
HR終了後、あれだけ西野くんに影やら天界やらの話をしてもらったのに、どうも現実味がなくて聞き流していた。
もっと危機感を持てば良かったと、今更後悔した。
部屋の隅に感じた違和感はまさしく私の予想したもので、あの時のようにジワジワと大きくなっていく。