「どうして殴るの?」

「泣かしたから」


「そっ
それは私が悪いから!!
神谷は何もしてないし…
昨日も手伝ってくれたし…」

「俺が無理矢理言ったんだよ。しかも!!泣くって事は男に理由があるからだろ?

何の行動もしないのはムカつく!」


理由は私の嫉妬だなんて言えない…。






「良いか?理由がどうであれ男が悪い!
だから楓は気にするな」


「…うん」



こうなれば紅葉は何も聞く耳たてない。





「喧嘩はしないでね?」

「しないよ。神谷となら」


神谷となら…?




よく分からないけど、でも、なんだかスッキリした。




少なくとも神谷はもう怒ってないみたいだし。





色々話せて良かった。





「私、やっぱり紅葉が一番好きだよ」


ニッコリ笑って言うと

「おう。じゃなきゃ困るから」と
優しく笑ってくれた。






板挟みの紅葉には申し訳ない気もするけど。



でも、こんな優しい兄が居て本当に良かったと思う。




気持ちが少し楽になった。