「ってか家入る?」
暗い所でずっと話してるのもなんだかね…。
「そうするかな」
「…私の家じゃないけど」
お茶を入れてリビングに座ると、明るい所で改めて私の顔を見た紅葉は
「ヒデー顔!」と
苦笑いした。
タオルを濡らして目を冷やしながら
神谷と会った時何て声をかけようか考えた。
暫く経つと紅葉の電話が鳴った。
「あぁ。今一緒に居る。お前後で会ったらぶん殴るからな」
…誰と話してるんだろう…?
ぶん殴るって…。
「は?
知らねーよ。自分でどうにかしろ!」
「あ?そんなの本人に言えよ」
「そしたらブッ飛ばす」
「二度と会わさない」
「ぁあ?バカか!
じゃぁ今すぐ来いよ!」
「何をそんなクヨクヨしてんだよ!!」
「知るかっっ!!」
電話を切って一気にお茶を飲む紅葉。
お代わりを入れに行くと「今、神谷だよ」って
ちょっと不機嫌そうに教えてくれた。
「す…凄い内容だったね…」
「あぁ。もうあいつダメだ」
「ダメ?」
「楓と同じような状態だよ。ま、泣きはしないけどな!」
どう言う意味だ?
「俺は複雑だよ…」
「どうして?」
「楓ってニブいんだな?妹と大親友、こんな状態の二人に挟まれる俺!
彼氏出来るのはムカつくけど、こんなに楓を泣かした神谷も許せねーし。でも大親友の弱った姿も見たくないし。
だけど俺からは何も言えないし!
複雑だよ」
困ったように笑う紅葉。
何か知ってるなら言ってくれれば良いのに。