どれくらい泣いていただろう?
空はすっかり暗くなっていて
電気を付けようと立ち上がった時携帯が鳴った。
一瞬ドキッとしたが
相手は紅葉だった。
「もしもし…」
『今どこ?』
「今?
沙恵の所に居るよ」
『外出て来て』
それだけ言うと電話は切れてしまった。
もしかして…
紅葉外に来てるの?
こんな顔で会いたくない…。
でもシカトする訳にもいかない。
鏡を見ると誤魔化しが出来ないくらい真っ赤な目。
腫れ上がっている瞼。
目を擦りすぎて目の下は赤くすれていた。
最悪な顔だ…。
でも仕方ない。
ゆっくり玄関に向かって扉を開けると
やっぱり紅葉が立っていた。
「やっぱりな」
そう言って私を抱き締めた。
「紅葉?」
「俺じゃ不満だろうけど、我慢して」
そして私の頭を撫でた。
俺じゃ不満…?
きっと
紅葉には全てお見通しなのかもしれない。
理解した時には顔が赤くなっていた。