「間に合う?」


「大丈夫だよ」

少しこっちを向いた顔は物凄く爽やかで
胸がドキッとした。




腰に回された私の手が今更恥ずかしい。









ギリギリで学校に着いた。
「ありがとう!」

そう言って走って教室へ向かう。


「あっ
かえちゃん!」

後ろで呼ばれたけどチャイムが鳴ってしまう前に教室に入りたくて

「ごめん、用件はメールして」と
走る足を止めなかった。





なんとかチャイム一分前に教室へ着くと
沙恵がキョトンとした顔をしている。


「沙恵、今日はごめんね」

「う…ん。
ってかズボン…」
「えっ!?」

ハッとした頃には遅くて
沙恵は「あははっ」と笑いだした。



この学校のスカートの色は紺色で、私は膝上で履いている。
そして紅葉から渡されたズボンは白地に赤や黄やオレンジの明るい色のチェックズボン。

これは紅葉が履くとカッコ良く決まるのに
私の今の格好には似合わない。

しかも大きいから七分みたいになっていて
そこから紺ソックスが出ている。


自分から見ても凄く間抜けでアホみたいな格好なのは分かってる。


こんなんで走って来たんだ…。


またも赤面してトイレに向かった。


急いで脱いでチャイムと同時に席へ座った。


「あ…」
神谷からメールきてるかも。

携帯を開くとメールが二件入っていた。


神谷と紅葉からだ。