家から十分程度の公園に着き、神谷はベンチへ座らせてくれた。


「何か飲む?」と、紅葉の問い掛けに「なんでも…」と答えるのが精一杯だった。


気付けば神谷は私を優しく見つめていた。





「大丈夫?」

「うん…
もう平気だよ」

そう言ってはみたものの、手を離す勇気がなくて…。

「紅葉と仲良かったなんて思いもしなかったよ」
小さく呟く私に神谷は「そうだね」と言った。






「今度さ、三人で遊ぼうよ!」
神谷は明るく言った。
……えっ?

「三人で…?」
「うん、紅葉入れて三人で♪」

そう言った神谷の顔は嘘には見えなかった。





「また私と遊んでくれるの?」
不安になりながらも聞くと神谷はキョトンとした後に
「当たり前でしょ?大親友の妹なら尚更♪」とニコッとしてくれた。







不安が全てなくなる訳ではないけど良かった…と、心から思った。




紅葉がジュースを持って戻って来ると私から、繋いだ手を離してそれを一口飲んだ。



二人の間に座っているから
二人して煙草を吸った時にケホッと咳が出て手ではらった。



その咳と共に、私の作り上げた″私″が崩れて

私から出て行った気分になった。





友達だった子がみんな裏切った。嘘ついた。作り笑いを浮かべた。
誰も助けてくれなかった。上辺だけの付き合いにウンザリしてた。

それと同じ事を私もしてた…。
誰とも向き合う事をしなくなった…。



信じてみるよ。
自分も、人も。



裏切る事も裏切られる事も、嘘をつく事も嘘をつかれる事も
恐れたくない。


みんな一緒って
勝手に決めつけてた私とはバイバイしよう。







だって神谷は、違う。




他の人も私が見えてないだけ…。





今突然私をさらけ出すのも心がくすぐったいが。