慣れれば平気なもので、私が唯一少しでも気を休める事ができる紅葉へ対しても
少しずつ″本来の私″を隠すようになっていた。
完全に忘れた訳じゃなくて
だからこそ気が休まるもので。
それだけの事。
自分をうまくコントロールした。
全ての汚いモノから私を守っただけの事。
それで今に至る訳で。
でもね、神谷。
神谷は私をそこから引っ張り出した。
慣れた所から引きずり出した。
忘れてたオモイ。
忘れていたかったオモイ。
思い出しちゃったよ…。
何年もかかって作り上げた自分をたった1日で…。
もう戻りたくない。
孤独は嫌。
怖い。
せっかく慣れてたのに…。
だけど
本来の自分を取り戻せる気がした。
神谷と一緒なら…。
だから失うのが怖い。
友達で居たい。
側に居たいんだ。
そのオモイは
繋いだ手に表れて、ギュッと強く握る手を
神谷も握り返してくれた。
ねぇ、信じて良い?