「怖かった?」
笑いながら聞く神谷に私は興奮気味で「うん!でも面白かった!」と言うと嬉しそうに笑ってくれた。


「かえちゃん、やっと笑ってくれたね」

「…え?」

「いつも笑わないからさ!」と、満足そうな顔で前を歩いて行った。


…何だろうこの気持ち…。


少し複雑。だけどちょっとだけ
神谷が今までの友達と違うって事が分かった。



「五時前か…。今日何時まで平気?」
「えっと…」

遊ぶ事のない私に門限などある訳もなく「親に連絡してみる」と、携帯を取り出した。

とは言ったものの母は五時まで仕事で電話に出る訳がない。


ボーッと携帯を開いて画面を見てると「メール?」と
神谷が察して言ってくれた。


「今日は夕飯いらないって打ってくれる?お母さんに…」
携帯を渡すと慣れた手付きでメールを打ち出した。



「送ったよ」
携帯を返され、携帯を受け取り
何かと不便だろうからメールくらい出来るようにしようって心に決めた。