目覚ましが鳴る。
時刻は朝の九時。


遊ぶ時間決めてないや…。

だからと言って自分から電話をするのは気が引ける。

携帯は家族と連絡を取り合う為に持ってるが、外へ出掛ける事のない私が連絡を取る事もなく
紅葉から電話はあるがそれ以外には使わない。

メールのやり方すら知らない。
アドレスも紅葉がやってくれた。


とりあえず朝食を作ろう。
両親は休日も家に居る事はない。休みも何処かへ出掛けてる。
私には有難い事だ。



「おはよう」
紅葉がリビングへ来た。「おはよう」
「ついでに俺のも作ってよ!」
トースターにパンを入れて、ジャムやらマーガリンを塗るだけの簡単な朝食。朝はいつも私が作る。紅葉と私の分を。
サラダも作って二人で食べた。
「あ、部屋で携帯鳴ってたよ」
食べ終わると同時に言われ、神谷しか居ないと思い急いで部屋へ向かった。


「メール…」
読む事は出来るが…。

でも内容が《一時にかえちゃんの地元の駅に行く》との事で、返事は返さず支度を始めた。

紅葉は私より先に出掛けた。普段出掛けない私にとってそれは好都合だ。
恥ずかしい訳ではないけど…。



Tシャツにジーパンと普通の格好で十二時半に歩いて駅へと向かった。