「ごめんね…」


もしかしたら神谷は私が謝る意味さえ分からないかもしれない。




私が勝手に好きだから…。








それでも
この時間、この時は真実で

だからそれで良い。









「もう謝らないで?
俺が悪かったから…。

ごめん」




切なそうに神谷の声は震えていて。




もしかしたら嫉妬なんてする必要がなかったのかもしれない。





過去なんて
知る必要なかったのかもしれない。





今の 神谷 を一番私が分かっていれば


今の 神谷 をもっと知っていけば

それで良いのかもしれない。










神谷はそっと私から離れると涙を指で拭ってくれて
私の腫れた瞼や擦れて痛い目元を優しく指でなぞった。




「ごめん」
小さく呟いて。