「ん?楓ちゃん、どうしたの?」
テーブルを挟んで前に座っているレイタさんが私の目元に気付いてしまった。
「あ…
ちょっと…その…」
みんなの視線が私に向けられる。
私が泣いていた事はこの顔を見れば誰でも分かると思う。
でも、今泣くのとは違う。
説明すれば長くなってしまうし
簡単に言う事も分からず
だけど沙恵に感謝の気持ちが溢れ、涙が流れてしまった。
その瞬間レイタさんが神谷の肩をバシッと叩いた。
「あ、大丈夫なんで…。
ちょっと友達に…その…」
「友達?男か!?」
携帯をチラッと見る紅葉は少し不機嫌に見えた。
「男!?何!?どうしたの?」
レイタさんまで…。
「いや、女の子です。
ちょっと色々と…」
「メール見て泣くのか?」
サトルさんは不思議そうに首を傾げる。
きっと男の人にはそう言う経験がないのかな?
なんて思いながら
「ちょっと感動してるだけなんで…。
少し外に出ますね」
自分の鞄からハンドタオルを出して携帯を持ったまま外へと出た。
どこに行く訳でもないがこの流れる涙が止まらなくて。
私の涙腺は弱くなってしまったのかもしれない。
でも昨日とは明らかに違う、悲しい涙なんかじゃなくて嬉し涙だ。