「あの、昨日はありがとうございました!!」
ペコッと頭を下げると紅葉が戻って来て
私の頭にポンッと手を置いた。
「俺の可愛い妹の楓」
私を紹介し終ると
「改めて、昨日は本当助かりました!!楓が無事に家を出れたのは三人のお陰なんで、今日はいっぱい飲み食いして下さい。
じゃ、カンパイ!」と
缶を上に上げる。
「カンパ~イ」
サトルさんとレイタさんは嬉しそうにガブガブ飲んでいた。
私は紅葉が友達なのに、あんな大人な挨拶…?をしていて凄いなって感心しながら一口飲んだ。
神谷はやっぱり気まずそうに俯きがちに飲んでいた。
時刻は夜の9時を回った。
一応沙恵にこの状況をメールして
心配かけてごめんね、と最後にいれた。
直ぐ返信があり
[ちゃんと素直にね!]と
一言だけだった。
でもその一言は私にとって深い言葉で少し涙が込み上げた。
涙はいつか枯れるって言うけれど
そんなの嘘だ。
昨日から散々泣いてる。
もし本当ならこの先一~二年は泣かないだろう。